2008年05月31日

5月31日〔現火〕

 おそらくは、数日の後

 また 瞼を開いた

 無意識に傍らへ伸ばした手は、何にも触れることは無かった

 急速に悖る記憶
 胸の中心に蟠る虚無が、否応なく現を思い知らせる


 ――あなたを 失った



 もう 俺には何もない


 なにも いらない


 あなた 以外の 何も――
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2008年05月28日

5月28日〔現火〕


 瞼を 開いた

 見えるものは灰色の虚空のみ
 そよぐ風だけが俺を生かして居る


 誰かの声が聞こえるけれど
 何を言っているのか、よくわからない
 触れてくるのは誰かの指先だろうか
 あたたかさが虚しくて また眸を閉じた



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2008年05月25日

5月25日〔現火〕

 頬にそよぐ風を感じる

 其の 訃 報  が


 夢であればと、願った



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2008年05月20日

5月20日〔現火〕




 報せを聞く。


 ……其の後の、記憶が ない。





・・
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2008年05月18日

5月18日〔現火〕

 新居にも、大分馴染んで来たように思う。
 彼の部屋、もう一人の彼の部屋。

 未だ間取りや家具類の配置が覚えきれずに、時折壁やらにぶつかりはしているけれど、そのうち慣れてくるだろう。

 生活も魔島の時と変わらぬようになった。
 朝出仕に出る人を見送り、昼をもう一人と過ごし、また夜を迎える。


 …だが、この日の日中は一人。
 此処に越して、初めての





 ――何故、だろうか


 どうして、こうも……――




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2008年05月16日

5月16日〔現火〕

 街並みの把握も兼ねて、生活必需品と食料品等の買い出しへゆく。
 自分自身に収入があるわけでないので、何か贈り物…と思ったところで、買える筈もなく。
 それに、買ったとしてもきっと、渡すことなど出来ないだろう。

 実のところ
 少しばかり収入(…というより、小遣いだろうか)のあった頃に
 そうしたものばかり、密かに買い溜めて居て

 捨てきれぬまま、旅に持ち歩き
 未だ渡せぬまま、何もない部屋の片隅にそっと置かれている。

 あれは何かと、問われたら
 …一体俺は、どう答えれば良いのだろう。

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2008年05月15日

5月15日〔現火〕

 帰宅……より数日明けての、1日。
 家具の揃えと、各々の部屋の体裁を整える。

 旧文明か、魔導文明か…何やらの研究を始めたらしい恍の為に設えた部屋が少し、物珍しいように思う。
 自分の部屋には何も要らないと二人に告げた。
 一人で何が出来るわけもなく…
 光どころか景色も映さない両眼に文字などが見える筈もない。
 物が多ければ多いほど、躓いてその後目も当てられぬ状況になるは分かりきって居る。

 何より、俺の時間は二人の為に使いたいから。


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2008年05月14日

5月14日〔現火〕

 魔島よりの移動を兼ねての各地観光…を終え、施工整ったハイグールの自宅へと到着した。
 整った…とは言えど、調度品や生活必需品等は未だ何もない。
 只彼の希望で、自活の為(なのだろうか?)の茄子畑用の耕地だけは、居を移した当日に急遽整えて貰った。

 道中思いがけぬ出遭いもあったが、それはまた後日記そう。
 夜半に気掛かりはあれども、概ね恙無く。
 馴染みの無い新居に荷を解きて、この日は休む。


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2008年05月01日

居を移す〔現火〕

 彼と、あの人と
 二人併せて、かつてのあの人になるのだと思う

 裂くほどに傷つけたのは他でもない自分自身で
 それでもその魂は今尚…
  …否 今にして漸くこの傍らにある


 二つのうち一つを不在とした一巡りを経て
 漸くに契りを結びて 密かに諸国を巡る

 それを機にと、これまで魔島に構えていた畑を払い
 農業に適した地であるハイグールへと居を移すこととなった

 ひとまずは土地と畑のみを整えて貰い
 新居の間取りや設備などは旅中に決めることとなる …だろうか


 こうして暮らせるなんて思いもしなかった
 触れれば消える夢のようで
 未だ 信じられずに居る

 見えない視界の内
 傍らに居てくれる二人だけが 唯 俺の真実



音ならぬ胸中
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2007年12月16日

失火〔現火〕

 集う影は三つ

 一つは焔の抜殻

 手を伸ばす先 魂から伸びる影は二つ

 捉え所のない ひとつ
 虚ろな焔の切っ先、包み込むひとつ

 目の前は灰色の 闇


 繰り返す 奇妙な日常

 抜け殻に宿る生命は唯 想いの結晶
 絆す証もなくて


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2007年10月24日

白昼夢〔現火〕

 過去をなぞるように
 闇にたゆたう三つの影

 影の一つは嗤い
 一つは微笑み
 そして一つは涙する


 満たされぬ渇望がゆえに
 朽ちて尽きることのない焔の虚蝉

 かつてへ戻ることもなく
 未来を望むことも出来ぬ 現身



 世界の内より色は失われ
 やがて影さえも消え

 遺されたは双つの温もり


 夢なのか

 現なのか


 終わらぬ時はいつまでも永い
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2007年09月04日

雨の音〔現火〕

 ざあざあと。

 しとどに栖を濡らし、雨が降る。

 少し早い秋の匂い。

 埋まらない喪失感。


 隙間の時間を経て、戻ったひとは
 どうしてか以前より少し変わったように見える。

 出仕もせずに暮らし、過ごす、日常。


 雨音が、途切れる。
 途切れて、また、降る。


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posted by アシアン at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月29日

焔鏡〔現火〕

 俗世より隔てられての栖
 何処より伝え聞いたか、賓人が一人
 現焔のこの身を鏡と呼ぶ

 真水鏡ならば未だ素直にその身を映そうものを
 朽ちかけた不安定な墨焔に宿そうとは物好きにも程がある

 なれど
 気紛れなナルキソス
 ただ花と愛でるはあまりにも物足りなくて


 宵闇の戯れ事は誘酔月の夢
 向かい合わせた鏡の向こう
 垣間見えたもう一人の背には気付かぬ振りをしよう

 それは触れ得ぬ闇夜の幻
 交わした言葉も また泡沫のごとく。
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2007年07月24日

融化反応〔現火〕

 このひとが酒に弱いと知ったは大分前のこと
 けれども酒癖は決して悪くないと思う

 ただ必要以上に愛想が良くなって
 元々純真無垢(…そうなのだ、このひとは)なのも手伝ってか
 色々と吹き込まれたことを頭から信じ込んでしまって

 …いやそれはいつものことかもしれないが


 どうしてだろうか
 楽しげなこのひとを見るは幸せなことなのに
 心中複雑な俺が居る


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2007年07月21日

思い付き、つらつら〔現火〕

 魔島に劣化なんたらが襲来したという。
 今となっては何の興味も湧かない国だが
 家主殿が仕官する国でもある。

 …聞いたことはないけれど
 あのひとは、魔島への愛着心を持っているのだろうか。
 もしも、そうであるならば
 墜ちねばいいと、願う。



 少し、疑問に思っていることがある。
 劣化なんたらの居る場所へ、呪竜を召喚したらどうなるのだろう。
 …あまり、意味はないのだろうか。な。


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posted by アシアン at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月20日

続・謎の小瓶〔現火〕

 先日貰った小瓶を持て余しているうちに
 また綺麗なものを拾ったのだと、同じような小瓶を受け取った。

 多分、違うものなのだろうと思う。
 聞けば、湖だか海だかに浮いていたものだという。
 管理人が居たので、不法投棄ではないのだろう。

 けれども…
 魔島のどこかしかに、しかも誰でも取れるように浮いているもの
 普通の物体であるはずがないと…思う。

 間違いなく、何かが起こる。
 しかも、洒落になるかならないかギリギリのラインで……



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posted by アシアン at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

双方向疑似螺旋〔現火〕

 小瓶の正体は未だ分からず
 …というより、
 なんというか

 折角貰ったものにこう言うのも何なのだが

 こう

 嫌な予感がするのだが


 飲むべき…なのだろうか。
 …それを、望まれているのだろうか。

 色の見えない瓶と、彼とを傍らに、未だ悩んでいる。



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posted by アシアン at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月14日

謎の小瓶〔現火〕

 転がり落ちた、小さな瓶。
 おそらく硝子製なのだと、思う。
 コルクのようなものでしっかと封をされた瓶の正体は、わからない。
 零れる匂いは心なしか甘いようにも感じる。

 問えば、拾ったのだ、という。
 色が綺麗だから、と。

 この目には薄灰色の発泡する液体にしか見えないが
 このひとがそう言うならば、きっと綺麗な色なのだろう。

 観賞用…なのだろうか。

 どうすれば良いんだろうか…これは…。


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2007年07月13日

退屈凌ぎ〔現火〕

 何やら騒がしいというので
 働きへ出ている家主殿に頼みこんで、世界の様子を軽く調べてきて貰った。

 例の謎の物体から、今度は魔物のような何ぞが生まれただとか
 それが動き始めた、だとか。
 聞けば幾つかの国は攻撃を受けているという。
 別所からの攻撃もあって、落城間近の国も。

 気紛れな神は、国からは賢者を
 在野からは戦士を集う。
 毒蜘蛛、とやらも。


 掌の上。転がされている感がする。
 始末に負えない。

 属するというのは面倒なことだ。


 ……本当に。
 面倒なことだ。



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posted by アシアン at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月10日

真夏日〔現火〕

 雨の日であろうと晴れの日であろうと
 眸に映る風景は変わらない

 ぼんやりと霞む視界に相変わらず色彩はなく
 手探りで気配と匂いを頼りに行動する日々

 突き刺す雨雫の痛みは
 今はこの身を実感せしめるものでしかなく


 極寒の魔島は、昼そ暑いものの
 真夏でも夜になれば些か冷える

 夏に弱いらしいこのひとには、丁度良いかとも思う

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posted by アシアン at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 現火:現への遡行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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