2009年02月26日

一日〔幻火〕

 腕よりするりと抜け出でる熱の空虚に目を覚まし
 土間へ立つ連れを手伝い乍ら
 冷え込む氷窟の居宅を温めようと動き回る
 そうしている内朝餉の支度も終わり
 充分に温めた居間で揃いの食事
 済めば片付け

 冷気残る内は自宅にて
 気紛れに庭と菜園の手入れなど済ませ
 或いは書肆に籠もりて過ごす
 花咲けば花を眺め
 時折刀の手入れ、酒蔵の整理

 日のある内は表へ出ぬ儘に
 戯れたり、微睡んだり

 昼過ぎてやがて夕暮れ
 黄昏に紛れるように散策路
 時に一人、時に影重ねて
 夕餉の買い出し 酒の仕入れなど

 ――夜、来らなば
 飽くことなき語らいの時
 月眺め 星を結び
 香気に包まれた伴侶を抱いて眠る

 終わり無き輪廻の如き一日




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2009年01月06日

雪解けには遠い〔幻火〕

 のそのそと起き出した。
 起き出したというよりは、這い出た――
 いやさ、氷籠を溶かしたというが正しいか。

 住処とするのは氷の洞窟。
 名の通り氷の支配する空間。
 幾らか休もうと思って焔の熱を弱めたらば
 瞬く間に外界と閉ざされて、早一月弱。

 存分に静かな時間を堪能した。


 半冬眠状態の儘何をしていたかというと

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2008年10月28日

寝ても覚めても〔幻火〕

 「酒呑んで眠りたい」なぞと呟いた所為なのか
 気付けば自宅の部屋が酒で溢れかえって居る。

 日頃は抜きもせぬ得物と、長雨の時期に必須の傘と
 最近は調弦もして居らぬ月琴の置き場は、辛うじて確保したものの

 玲瓏凛列たるお嬢さんの店で購入して、ちびちびと味わって居る幻の蒸留酒と、上品な味わいの葡萄酒が一つずつ
 ぷにっとしてぽこぺんされる奴らの酒の仕込み元より、不思議な味わいの…やはり蒸留酒(多分)が一つ
 どうせなればと酒蔵より取り出した果実酒が一つ
 手には俺が愛しき伴侶と酌み交わす酒杯

 そして、今夜になって倭装のお嬢さんよりぷにっとしてぽこっとされる酒…の倭酒の方が届けられ。


 飲んだくれるにはこれ以上ない環境。
 つまみは無論、先日置き去りにされたスルメを炙って頂く。
 いや、有り難いものだな。

 付き合うてくれる人が居ることも含めて、ね。

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2008年08月29日

呟き草〔幻火〕

 その下に就く気はない
 ゆえに、同国に身を置くことはせず

 誰ぞを束ねる柄でなし
 ゆえに、声を上げることもせず

 名と肩書きに縛られる己であるから
 公私の切り分けを疎ましく思う己であるから
 意識は国に在らず、団に在らず
 ただ個として野に在る


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2008年08月26日

処暑過ぎて〔幻火〕

 先週末に怪談の宴を終え
 これより語りの編纂に入ろうという段。

 何ぞ亦た騒がしい世界には見ぬ振りをして
 走り書きに書き留めた逸話を抱え、自宅へ戻った。

 自宅の空気だけは変わらない。
 澄みもせず澱むこともなく、ただ穏やかで
 此処だけは間違いなく俺の安らげる場。

 書机に紙広げて、筆走らせる。
 傍らには伴侶の姿
 それぞれにそれぞれの時過ごしつ
 時に混じり合い融け合う互いの世界。

 触れ得る存在に言葉と笑みと交わした。 


 …もうじき、月見の頃だな。

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2008年04月21日

燻火〔幻火〕

 声に出してブチ撒けられそうもない不機嫌さの原因を
 目の前に置いた玻璃杯に注ぎ込む酒に映して、喉に流し込む
 酒に対しての 幾ばくかの後ろめたさと共に

 焔の熱たり得ぬ酒精分は、
 だが己の体温を上げるに余りあるそれで
 口中を満たす、噎せるような熱と、芳醇な香に ゆるりと吐息する

 謂れを問い糾すこともなく、静かに傍に在る連れの存在が
 今ほど有り難かったことはない

 …いや、感謝なれば常に捧げては、いるが

 身を凭せ掛け、時に酌を乞い乞われて
 ぽつり ぽつりと 互いの声のみが行き交う睦びの刻

 今はこの時だけが俺の至福
 己を含めて総ての事象が気に入らない

 許せるのはただ一人
 俺が連れ合いだけだ


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2008年04月18日

焔陰〔幻火〕

 他人の目に映らぬ彼
 他人の身体に触れ得ぬ俺
 不完全な精霊種のつがい

 己の有り様は意志一つ
 制約を外すことは難しくはないが
 敢えて今以上の利便を求める責も必要もなし

 互いには触れ得て
 互いの目に映る

 二人、共に在るなれば
 それだけでいい

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2008年03月01日

繰り返す〔幻火〕

 亦た 戦 だ

 国にあれば当然のことなのだろう
 保護の恩恵受ければ在るべきことなのだろう


 目を背けて 意識を殺して 家路を急ぐ


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2008年02月22日

むかし〔幻火〕

 賞味期限の切れたあれこれは 時々吐き出さねぇと己まで腐っちまう
 前を向けるお人はすげぇね

 とりあえず大陸中央部の戦火が片付くまで
 軽く引き籠もっておくとしよう



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2008年02月04日

終の在処〔幻火〕

「俺は自由にも縛られないのさ」

 そう言ったのは何処の誰だったか

 甲斐性のない青いのが何処ぞで言ったという言葉を遠く伝え聞いて
 そんなことをふと、思い出した


 渦中に在りて尚、思惑は交錯する
 そこから芽吹く命も意志もあるのだろう
 良くも、悪くも。


 ずっと昔
 この大陸に形を為した時から
 俺の眸に世界は宿らなかった

 流れゆく風景を映すのみで
 見据えるのはその奥に居る一個人だった

 俺にはそれで充分だ
 それだけが俺の行動理念となりうる

 大義名分なぞ欠片程も要らねぇ


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2008年02月03日

2月3日〔幻火〕

(走り書きが残されている)

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2007年12月13日

敢えて語る言葉を知らず〔幻火〕

 …手記のタイトルに深い意味はない。
 多分。

 さて。
 俺が行動というは世界内がすべてであり
 この手記やら書架やらに記すはその軌跡にしか過ぎない。
 言うてみれば連絡帳のようなものだ。

 ゆえ、記すに過度な装飾、行動の差違がないように心がけるは物の道理。
 加えて、「読まずとも問題ない」ものである。
 これが俺が書く手記の絶対条件、…と個人的に位置付けて居る。

 逆に言えば此処は己が行動の覚書を記すところであって
 楽しみの最たるものは、つまるところ
 世界内の行動そのもの……なのだよなぁ。


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2007年12月06日

――やれ…〔幻火〕

 連れ合いが動けぬを言い訳に、傍でぼんやりと過ごす日々。


 借家で過ごす日々は決してつまらないものではない。
 むしろ楽しいものだと思う。
 天使のお嬢さんも
 てるてる夫妻(未満)の…お嬢さん――とでも呼んでおこうか、今は――も顔を出してくれるし
 金色猫も相変わらずのようだ。
 べねたんも元気そうだし……

 その辺りを切っ掛けに
 外出先でも楽しもうと思えば不可能ではない。
 なれどそういう気にはなれない。
 

 思い付くことは多くとも
 逐一理由を付けては己の想像を吐き捨てる。


 苛々と愚痴の一つでも零したくなる。
 …つまるところ、退屈の解消仕切れぬ環境に鬱々としているのだろう。



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2007年11月08日

Corridor Crossroads〔幻火〕

 少し遅めの夕餉を済ませ
 酒ではなく、連れ合いの淹れてくれた紅茶と
 友人の贈ってくれた南瓜のシューを二人で分ける。

 解放された国々は、それぞれに
 復興や新興の歩みを進めるのだろう。

 過去の因縁、未来への眺望
 絶望と希望、期待と諦念が交錯し
 気紛れで横暴な神とやらの目には、
 いかにも『Chaos』と映りそうな情勢。

 …面白いではないか。


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posted by アシアン at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 幻火:夢語り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月14日

一夜

 さすがに連れて行くのは些か残酷かと
 思い直して一人向かう

 傍に居らねば触れて居なくば
 どんな物質であろうと
 どんな存在であろうと
 俺のこの手はこの身体は対象を擦り抜ける

 貴方以外の誰にも触れ得ない
 この身体が何よりの心の証


 戻ったら目一杯甘やかしてやろう
 数日勤務怠けたって構わない


 …傷付けた分だけ、償いを
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2006年12月06日

日常

 相変わらず国には必要最低限しか顔を出していない
 中継地と …中継地の仕事がなければ、勤務と。

 それだけ済んだら宿… でなくて

 いつの間にやら
 連れ合いがちゃっかり借りていた家へ戻る

 酒ばかりはたまに珍しいものが欲しくなって
 二人連れだってそっと街へ出ることもあるけれど
 他はどこから得るまでもなく 自給自足

 そんな、穏やかな日々


 ……誰にも、邪魔などさせるものか。

note.
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2006年10月29日

これから

 漸く 手に入れた、と思う
 今度こそ、とも

 知り得なかった景色
 考えられなかった 未来

 望むことは多く
 そしてきっと それが叶う日も
 きっと遠くはなく


「互いが共にあれば」

 それだけが唯一至高の願いではあるけれど

 楽しみは 多い方がいい


 傍らのひとの手を引いて
 …なぁ
 次はどこへ行こうか

 そろそろ
 腰を落ち着けても良いと、思うのだけれどな
posted by アシアン at 02:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 幻火:夢語り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月29日

復縁

 遠く途切れたと思った絆の悖るを感じる
 だがそれは己のものではなく

 祝福の言葉を小さく呟いて
 怪訝な顔をする傍らの存在に 微かな笑みを向けた
 なんでもないよ、と

 そうだね
 ただ

 近いようで遠い友人が
 また少し 遠くなっただけかもしれない

 …俺には貴方が居ればいい


続き
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2006年08月08日

8月8日

 気付けば、存在は二つに裂かれたたまま
  ――否 裂いたのは俺だ

 それぞれ たった一人を想う意志だけを糧に存える

 触れ得る「躰」を持った「俺」の半ばの行方は知れず
 「躰」持たぬ俺は 伴侶無くしては存在出来ず

 不完全なまま いずこかに在る


 だが 構うものか
 失うよりは遙かに良い

 漸く 俺は幸を得た
 今度こそ 手放しはしない

note.
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