2008年10月26日

もういっそスルメの使者で良いと思った〔幻火〕

 奇声と共に…ではなく、
 カァドと共に宝珠の幾つかを置き去りにしたのが、先日の話。

 カァドに残した気配かそれとも純粋に宛名を辿ってか
 明るい紺色の髪したひとが訪ねてきたのも、
 やはり先日の話。

 以前とは自宅の場所も雰囲気も違うて居るが
 それでも感慨深げに見回す姿。
 感覚も匂いも忘れていたが――と
 ほろり口から零れる声も言葉は相変わらずで
 ほんの少し、変わったようにも見えて


 だがおそらく、それは俺も同じことなのだろう。
 変わっていたり、変わって居なかったり
 それでもお互い、相変わらずだねぇと言い合うのだろう。


 続く言葉が見付からないのか、口籠もるひとに
 とりあえず茶でも淹れようと席を外して帰ると

 部屋の中に既に姿はなく
 代わりにテーブルの上、置き忘れた様なスルメが一枚。

 酒の肴にでも、とある手紙を見ながら
 茶でなくて酒を出せば良かったかと、
 微妙に的外れな後悔をするのが俺。


 ちりちりスルメを炙りつつ

 もしかして彼女の言う匂いというのはコレのコトでないのかと
 ちょいとだけ心配になったのは、ここだけの話。



posted by アシアン at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 幻火:戯れ事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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