2008年10月23日

逍遙の夕〔幻火〕

 ぼんやりと過ごして居るうちに
 新酒の瓶が火炎瓶とか呼ばれたり
 金色猫が誕生日だったり
 気付けば冥界騒ぎが起こっていたり、と

 相変わらず世間様は騒がしく楽しげだ。

 大分に傍観者めいて来たと、己を嗤う。
 …ま、日々平穏であろうと思えば、こう在るが今の最良か。



 気紛れに風の噂を聞けば、
 昨日かに出現した冥界の先鋒は先ずエージュへ
 そして今日になってワンズへと転戦したと云う。

 どちらも知った顔の治める国
 だが

 ――ま、心配は要るまい。
 心配した処で大丈夫だと笑うて見せるのだろう。
 その内に如何様な葛藤があろうにしろ
 俺が其れを知ることはないし、おそらくは問うて語られることも無いのだろう。

 水臭い話だ。
 そう思うは俺だけか。
 手助けなぞしてやるものかと、杯に注ぎ足すは辛い酒。
 何にせよこの程度で倒れるよなお人でもあるまい。


 遠く伝え聞く口上は相変わらずの其れ
 活き活きとしていると、感じた。
 然うあることこそが彼の華なのだろうと、思う。
 彼に在りて一切は己が光りゆえに輝く。

 そう言えばもう一羽…もといひとかた
 窮地にありて尚も呵々と笑……いはせねど粋めいて佇む友も居たと思い出す。

 どちらとも賢者仲間と云うて久しいが
 何ンのことはない、只辿ろうとする路の呼び名が同じだっただけの話。
 立場を要す場に揃えば際だつは己の知の昏さばかりだろう。
 ――いや、そもそもそんな機会は無いが

 大したものだと、改めて遠く二者を思った。


 ま…俺は俺で、構うまい。
 求める幸の形が、そも違うだけの話。


 杯片手に眺めやる、秋空。
 此処には喧噪も争乱もない。


 在るのは密やかな幸福だけだ。

posted by アシアン at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 幻火:戯れ事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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